近年、日本でも大きなブームとなっているサウナ。「サウナとは何か」「どんな効果があるのか」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
サウナは北欧フィンランド発祥の入浴文化で、高温の空間で汗を流すことで心身をリフレッシュする施設です。「整う」という言葉に代表されるように、多くの人がその心地よさに魅了されています。
本記事では、サウナの語源や基本的な意味から、健康・美容効果、そして「整う」メカニズムまで科学的根拠に基づいて詳しく解説します。
サウナ初心者の方でも理解しやすいよう、正しい入り方や注意点についても触れていますので、これからサウナを始めたい方や、より深くサウナの魅力を知りたい方にとって、有益な情報となるでしょう。
サウナとは
サウナとは、フィンランド発祥の蒸し風呂を意味します。「サウナ(sauna)」という言葉はフィンランド語に由来し、約2000年前から北欧の厳しい寒さをしのぐための入浴文化として発展してきました。
サウナの特徴は高温環境で発汗を促し、血流を改善することです。サウナに入ると平常時の約2倍の血液が全身に流れ、これにより健康効果が得られます。
主な効果としては、疲労回復、血行促進、ストレス軽減、免疫力向上などが挙げられます。
日本では1963年頃から注目され始め、現在では「整う(ととのう)」という言葉とともに人気を集めています。基本的な入り方は、サウナ→水風呂→休憩を2~3セット繰り返すことで、温冷交代浴の効果を最大限に引き出します。
サウナは単なる入浴施設ではなく、心身のリフレッシュや健康促進のための文化として、現代社会に広く受け入れられています。
サウナで得られる効果や効能
サウナには心身の健康に様々な良い効果・効能があるとされています。
サウナで期待できる代表的な効果を項目別に詳しく見てみましょう。
血液循環と心血管への良い効果
サウナに入ると体温上昇により血管が拡張し、全身の血液循環が促進されます。これにより酸素や栄養が体中に行き渡り、老廃物や毒素の排出が促進されます。
血管拡張効果により、血管壁が柔軟性を増して動脈硬化のリスクが減少し、心臓への負担が軽減されます。また、内皮細胞から一酸化窒素(NO)が分泌され、血管をしなやかに保つ作用があります。
研究では、20分間のサウナ利用で心拍数と血圧の低下が確認され、血管内皮機能の向上も報告されています。フィンランドの長期研究によれば、週に2回以上のサウナ利用で心血管疾患リスクが軽減することが示されています。
サウナは血液循環を改善し、心臓や血管の健康維持に効果的ですが、心臓病や高血圧がある場合は医師に相談することが重要です。
高血圧・生活習慣病リスクの低減
サウナの定期的な利用は高血圧や生活習慣病リスクの低減に効果があります。研究によると、週に2~3回サウナを利用する人は高血圧リスクが24%低下し、週4~7回では46%も低下することが示されています。
サウナに入ると一時的に血圧が上昇しますが、その後血管が拡張して最高血圧・最低血圧ともに低下します。特に最低血圧の低下は高血圧の方にとっても大きなメリットとなります。
2018年の研究では、20分間のサウナ利用で心拍数と血圧の低下、血管内皮機能の向上が確認されています。サウナの温熱効果により内皮細胞から一酸化窒素(NO)が分泌され、血管を柔軟にして動脈硬化を予防する効果も期待できます。
ただし高血圧の方は、サウナと水風呂の急激な温度変化による血圧変動に注意が必要です。降圧薬服用中の方は医師に相談することをおすすめします。
疲労回復とストレス解消への効果
サウナには疲労回復とストレス解消の効果があります。高温環境で血流量が通常の約2倍に増加し、体内の隅々まで酸素が行き渡ることで疲労物質が軽減されます。これにより「疲れが取れた!」という爽快感を味わえます。
また、サウナと水風呂の温度差による刺激は自律神経のバランスを整えます。サウナでは交感神経が、外気浴では副交感神経が優位になり、このスイッチングが自律神経を鍛えます。
フィンランドの研究では、サウナから出た約30分後に副交感神経が優位に働くことが確認されています。
さらに、サウナ利用により脳内ではβエンドルフィンやセロトニンなどの「幸せホルモン」が分泌され、精神的なリラックス効果も得られます。高温のサウナ室で中枢神経の興奮を高め、その後の休息でストレス解消へと導かれるのです。
自律神経への作用と精神面のリラックス効果
サウナは自律神経のバランスを整える効果があります。サウナに入ると高温刺激により交感神経が活性化し、その後の水風呂や外気浴で副交感神経が優位になります。この交感神経と副交感神経の切り替えが、自律神経を鍛え、バランスを整えるのです。
東フィンランド大学の研究では、サウナが交感神経を優位にさせ、サウナから出た30分後に副交感神経が優位に働くことが確認されています。この自律神経のスイッチングが「ととのう」状態を生み出す仕組みです。
また、サウナ浴によりβエンドルフィンやセロトニンなどの「幸せホルモン」が分泌され、精神的なリラックス効果も得られます。
これらのホルモンには鎮痛作用やストレス・不安を和らげる効果があり、サウナ後の爽快感や幸福感をもたらします。
サウナは現代社会で乱れがちな自律神経のバランスを整え、ストレス解消や心身のリフレッシュに効果的な手段といえるでしょう。
美肌効果(発汗デトックスと肌のターンオーバー促進)
サウナには美肌効果があります。サウナの熱により血行が促進され、酸素や栄養が肌に届きやすくなり、新陳代謝が活発になります。これにより血行不良や古い角質によるくすみが改善し、ニキビや毛穴トラブルの予防にも効果的です。
また、熱刺激によって「ヒートショックプロテイン(HSP)」というタンパク質が分泌されます。HSPは紫外線や酸化などのストレスから肌を守り、肌荒れやエイジングサインの予防に役立ちます。
さらに、サウナと水風呂の温冷交互入浴で活性化する「サーチュイン遺伝子」には抗老化効果があり、肌のハリ低下などのエイジング悩みにもアプローチします。
ただし、サウナ後は肌が乾燥しやすいため、必ず化粧水と乳液で丁寧に保湿することが美肌効果を高めるポイントです。
冷水と外気浴による肌の引き締め効果
サウナ後の冷水浴と外気浴は、肌の引き締めに効果的です。サウナで開いた毛穴は、冷水に浸かることで一気に引き締まります。この温度差による収れん作用が、肌のハリと弾力を増し、健康的な肌の維持に役立ちます。
冷水は血管を収縮させ、サウナでほてった肌の赤みを抑え、顔全体を引き締める効果があります。また、毛穴の奥に溜まった老廃物も、血行促進効果によって排出されやすくなります。
外気浴では、涼しい空気が肌に触れることでさらに引き締め効果が高まります。この温冷交代浴のプロセスは、皮膚の血管の拡張・収縮を促し、肌の代謝を活性化させます。
継続的なサウナと水風呂の利用は、毛穴の開閉トレーニングとなり、長期的には肌質の改善につながります。また、むくみの改善効果も期待でき、特に顔や足のむくみが気になる方には効果的です。
ダイエット・むくみ解消への好影響
サウナはダイエットの魔法ではありませんが、むくみ解消や代謝向上に役立ちます。サウナで減る体重は主に一時的な水分減少で、脂肪が燃焼したわけではありません。水分補給すれば元の体重に戻ります。
カロリー消費量は10分間のサウナで約15〜30kcal程度と少なめですが、血行促進効果で代謝が上がり、長期的には「痩せやすい体質づくり」をサポートします。特に週2〜3回の定期利用で基礎代謝が向上し、むくみ解消効果も期待できます。
サウナ後に水分補給を怠ると、体が水分を蓄えようとして逆にむくむこともあるため注意が必要です。また、サウナ後の暴飲暴食は避け、水分補給はノンカロリー飲料を選ぶと効果的です。
サウナは単体ではなく、適度な運動や食事管理と組み合わせることで、より効果的なダイエットサポートになります。
サウナの「ととのう」とは

「ととのう」とは、サウナ→水風呂→外気浴(休憩)のサイクルを1〜3回繰り返した後に訪れる特別な心身の状態を表すサウナ用語です。2021年に流行語大賞にノミネートされるほど広く知られるようになりました。
この言葉の生みの親は、プロサウナーの濡れ頭巾ちゃん氏で、2009年頃にサウナの気持ちよさを表現する言葉として生まれました。その後、『サ道』の著者タナカカツキ氏によって広められました。
科学的には、サウナの高温で交感神経が刺激され、水風呂で急冷することで副交感神経が優位になることで生じる現象です。この時、脳内ではβ-エンドルフィンなどの幸福感をもたらす物質が分泌されます。
「頭は冴えているのに体はリラックス」という日常では体験できない状態で、「頭が真っ白になる」「極楽にいる感覚」など、人によって表現は様々です。
サウナ初心者向けの入り方
ここでは、初めてサウナを利用する方向けに、準備からサウナ室・水風呂・外気浴の基本ステップ、そしてサウナ利用時のマナーと注意点までを順を追って解説します。
入る前の準備(持ち物の準備・水分補給)
サウナを安全に楽しむためには、適切な準備が大切です。サウナでは大量の汗をかくため、水分補給と必要な持ち物を事前に用意しましょう。
入浴前には300〜500ml程度の水分を摂取し、アルコールやカフェイン飲料は避けてください。また、満腹時や極端な空腹時のサウナ利用は控え、食後1〜2時間空けるのが理想的です。
サウナ室に入る前には必ずシャワーで体を清潔にし、水滴はしっかり拭き取りましょう。
なお、サウナの際には以下のようなアイテムがあると便利です。
持ち物 | 用途・備考 |
---|---|
タオル(大小2枚) | バスタオルは体拭き用、ハンドタオルはサウナ室で敷いたり汗拭き用 |
飲み物 | 水やスポーツドリンク500ml〜1L(カフェイン・アルコール不可) |
サウナハット(任意) | 頭部の熱さ軽減、髪の乾燥防止に |
替えの下着・衣類 | 汗をかいた後の着替え用 |
サンダル | 外気浴スペースが屋外の場合や施設によって必要 |
サウナ・水風呂・外気浴の基本ステップ
準備が整ったら、いよいよサウナ室へ入りましょう。サウナ→水風呂→外気浴までが1セットの基本的な流れです。
以下に初心者におすすめの具体的な手順と時間配分の目安を示します。
シャワーで体を清め、水気を拭き取ったらサウナ室に入ります。入室後しばらくすると全身からじんわり汗が出てきますので、「汗が出始めたな」と感じたらサウナを出るタイミングです。
目安として6〜12分程度ですが、個人差があるので時計とにらめっこせず自分の感覚を優先しましょう。
サウナ室から出たら、すぐに水風呂に飛び込まずにかけ湯やシャワーで出た汗を一度流します。サッと汗を流したら、いよいよ水風呂へ。
初めは心臓がバクバクするかもしれませんが、30秒もするとスーッと落ち着いてきます。水風呂の滞在時間は1〜2分が目安ですが、体が十分冷えてきて、「もう出たいな」と感じたら無理せず出ましょう。
水風呂から上がったら、軽く体の水を切っておきます。
水風呂で冷えた体を落ち着かせるため、外気浴または休憩スペースで椅子に腰掛けてリラックスします。屋外に涼めるスペースがある場合は新鮮な外の空気を吸いながら、無ければ室内のベンチでも構いません。
目を閉じてリラックスすると、副交感神経が優位になり始め「ととのう」感覚への入り口です。大体5〜10分程度休むと体内の温度と外気のバランスがとれて非常に心地よくなります。
この時、水分補給も忘れずに行いましょう。喉が渇いていなくても、こまめに水を含んでおくことが脱水予防に大切です
以上で1セット終了です。
初心者の方は、このサウナ→水風呂→休憩の1セットをまず1〜2回行ってみましょう。無理に3セット・4セットと繰り返す必要はありません。特に最初のうちは、1セットでも十分な発汗と爽快感が得られるはずです。
慣れてきて余裕があればもう1セット追加し、合計2〜3セット行うとより「ととのう」感覚を味わいやすくなります。
サウナ利用時のマナーと注意点
サウナ利用時の基本マナーは、まず入室前に体と髪をしっかり洗い、水滴を拭き取ってから入るのが大切です。サウナ室では扉を素早く閉め、タオルを敷いて座り、静かに過ごしましょう。
サウナから出たら、水風呂に入る前に必ず汗を流してください。水風呂では髪を浸けたり潜ったりするのは避けるのがマナーです。
セルフロウリュは周囲に一声かけてから行い、施設のルールに従いましょう。外気浴スペースでは寝転がらず、椅子の長時間占有も控えてください。
体調不良を感じたらすぐに退室し、飲酒後のサウナ利用は絶対に避けましょう。サウナは我慢比べではなく、自分のペースで楽しむのが一番です。
初心者は特に無理をせず、少しずつ自分に合った入り方を見つけていくことが、サウナを安全に楽しむコツです。
サウナの種類と特徴
一口に「サウナ」と言っても、温度や湿度、利用方法の違いによって様々な種類があります。
ここでは代表的なサウナの種類とその特徴を紹介します。自分の好みや目的に合ったサウナを見つける参考にしてください。
ドライサウナ(乾式サウナ)
ドライサウナは日本で最も一般的なサウナで、温度80〜100℃、湿度5〜20%の高温低湿環境が特徴です。サウナストーブで熱せられた空気により体の芯からじっくり温まり、血行促進効果で疲労回復や肩こり改善に効果的です。
メリットは爽快感が強く「整い」に達しやすいこと、大量の発汗によるデトックス効果、そして湿度が低いため細菌の繁殖が抑えられ衛生的な点です。
一方、肌や髪の乾燥ダメージが比較的高く、呼吸がしづらく感じる方もいるというデメリットがあります。ロウリュを楽しめる施設も多く、フィンランド発祥のサウナ文化を体験できます。
初心者は下段の席から始め、5〜10分程度の短時間から徐々に慣らしていくことをおすすめします。
スチームサウナ・ミストサウナ(湿式サウナ)
スチームサウナ・ミストサウナは湿度が高い「湿式サウナ」に分類され、温度40~55℃程度と比較的低温ながら高湿度で体を芯から温めます。
スチームサウナは水蒸気(気体)を利用し、足元から蒸気が上昇して室内を満たすのが特徴で、湿度はほぼ100%です。
一方、ミストサウナは霧状の温水を上から噴霧し、湿度約90%、温度35~45℃とよりマイルドです。どちらも乾燥肌対策や美肌効果に優れ、毛穴の汚れを落としやすくする効果があります。
また、息苦しさが少なく初心者やサウナが苦手な方にも入りやすいのが魅力です。スチームサウナの方がミストより熱が伝わりやすく発汗効果が高いですが、どちらもリラックス効果や血行促進効果が期待できます。
フィンランド式サウナ
フィンランド式サウナは、サウナ発祥の地フィンランドの伝統的なサウナスタイルで、温度70〜90℃、高湿度の環境が特徴です。
最大の魅力は「ロウリュ」と呼ばれる、熱したサウナストーンに水をかけて蒸気を発生させる方法にあります。これにより湿度が高まり、穏やかな熱が体の芯まで浸透します。
日本の高温ドライサウナと比べて体への負担が少なく、長時間入れるため、じっくりと発汗を促し血行促進効果が高いのが特徴です。
サウナ→水風呂→外気浴の温冷交代浴を繰り返すことで、自律神経のバランスを整え、疲労回復やリラックス効果を最大限に引き出します。
フィンランドでは「ヴィヒタ」という白樺の枝で体を叩いて血行を促進する伝統もあり、サウナ文化は生活に深く根付いています。近年は日本でも本格的なフィンランド式サウナが増え、人気を集めています。
ロウリュ(熱波)サウナ
ロウリュサウナは、熱したサウナストーンに水をかけて蒸気を発生させる、フィンランド発祥の伝統的なサウナ体験です。「ロウリュ」とはフィンランド語で「ゆっくりと降り注ぐ熱気」を意味します。
温度60〜80℃、高湿度の環境が特徴で、蒸気によって体感温度が上昇し、より効果的な発汗を促します。通常のドライサウナと比べて深部体温が上がりやすく、血行促進、免疫力向上、新陳代謝アップなどの効果が高まります。
また、アロマ水を使用することで香りによるリラックス効果も得られます。日本では「セルフロウリュ」と「オートロウリュ」の2種類があり、前者は自分で水をかけ、後者は自動で蒸気が発生します。
肌のピリピリ感が少なく呼吸がしやすいため、サウナ初心者や女性にも人気です。サウナ愛好家が「ととのう」感覚を得るための近道として注目されています。
塩サウナ
塩サウナとは、体に塩を塗った状態でサウナを楽しむ入浴法です。一般的なドライサウナより低温(50〜60℃)・高湿度(60〜70%)の環境で行われます。塩の浸透圧効果により汗が出やすくなり、通常のサウナより効率的に発汗できるのが特徴です。
主な効果は、塩のスクラブ効果による古い角質除去と美肌効果、毛穴の汚れや老廃物の排出によるデトックス効果、血行促進による冷え性・肩こり改善効果などが挙げられます。
溶けた塩にはタンパク質を溶かす作用もあり、肌のトーンアップやニキビ予防にも効果的です。ドライサウナが苦手な方でも比較的入りやすく、じんわりと汗をかきながら美容効果も得られるため、女性を中心に人気を集めています。
遠赤外線サウナ
遠赤外線サウナは、通常の高温サウナと異なり、遠赤外線の放射熱を利用して体を直接温める特殊なサウナです。温度は40〜60℃と比較的低めながら、遠赤外線が体の深部まで浸透するため効率的に発汗を促します。
熱ストレスが小さく長時間入浴できるのが特徴で、慢性疲労の改善や筋肉痛の緩和に効果的です。また、血行促進効果により血圧の安定化や心臓の健康維持にも役立ちます。
通常のサウナと同様に美肌効果や自律神経の調整効果もありますが、特に体への負担が少ないため、高温サウナが苦手な方や心臓に不安のある方にも向いています。
電力消費が少なく、自宅導入もしやすいことから、近年人気が高まっています。ただし、脱水症状には注意が必要です。
バレルサウナ
バレルサウナとは、その名の通り樽(バレル)の形をした円筒形のサウナです。フィンランド発祥とされ、主にアウトドアサウナとして人気があります。
最大の特徴は円筒形の構造で、この形状により熱が均一に行き渡り、特にロウリュをすると天井のカーブに沿って熱気が自然に降りてくるため、効率よく温まれます。また、耐久性に優れ、雨風の影響を受けにくいのもメリットです。
一般的なサウナ小屋と異なり、断熱材や防湿シートを使わない単層構造のため、材料費も抑えられます。デザイン性の高さから庭や自然の中に設置されることが多く、おしゃれな外観も魅力の一つです。
一方で、外気温の影響を受けやすい、雨漏りのリスクがある、サイズによっては窮屈に感じることもあるといったデメリットもあります。近年は日本でもアウトドアサウナの一種として注目を集めています。
テントサウナ
テントサウナとは、耐熱性のあるテントの中で薪ストーブを焚いて高温空間を作り出す、アウトドアで楽しめる移動式サウナです。
フィンランド発祥のサウナ文化をベースにしており、2018年頃から日本でも人気が高まっています。最大の魅力は「好きな場所でプライベートなサウナを楽しめる」点で、湖畔や河原、自宅の庭、キャンプ場など様々な場所で利用可能です。
メリットは持ち運びが簡単で、リーズナブルな価格、少人数で気兼ねなく利用できる点です。一方、外気温の影響を受けやすい、設置や片付けに手間がかかる、耐久性が低いといったデメリットもあります。
テントサウナでは自然の中でクールダウンできる贅沢な体験ができ、セルフロウリュや好きな音楽を流すなど、自由度の高いサウナ体験が魅力です。
サウナを楽しむために気を付けるべきポイント
サウナの恩恵を最大限に受けるためには、正しい入り方だけでなく安全面への配慮も欠かせません。
ここでは、サウナをより楽しく健康的に楽しむために知っておきたいポイントをまとめます。
水分補給をしっかり行う
サウナでは1セットで300〜500mlの水分が失われるため、水分補給が非常に重要です。脱水状態になるとめまい、頭痛、最悪の場合は意識障害などの危険があります。喉の渇きを感じる前から意識的に水分を摂取しましょう。
一度に大量に飲むのではなく、少量ずつこまめに飲むのがポイントです。アルコールには利尿作用があるため、サウナ後はまず水やスポーツドリンクで水分・ミネラルを補給してから楽しみましょう。
おすすめの飲み物はミネラルウォーター、スポーツドリンク、麦茶などです。カフェインや糖分の多い飲み物は避けるのが賢明です。
飲酒時の利用は避ける
サウナと飲酒の組み合わせは非常に危険です。アルコールには利尿作用があり、体内の水分を奪うため、飲酒後はすでに脱水状態になりやすくなっています。そこにサウナでの発汗が加わると、脱水症状が深刻化し、血液が濃縮されて血栓ができやすくなります。
これにより脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まり、最悪の場合は命に関わる事態になることも。また、アルコールとサウナはどちらも血圧を下げる効果があるため、不整脈などの危険性も増します。
サウナ後の飲酒も注意が必要です。十分な水分補給を行い、体温と心拍が落ち着いた1時間程度経ってからが安全です。サウナ直後の「のどが渇いた状態でビールを一気飲み」するのは絶対にやめましょう。
水風呂はかけ湯で汗を流してからゆっくり入る
サウナ後の水風呂利用では、まずかけ湯やシャワーで汗を流すことが大切です。汗を流さずに水風呂に入ると水が汚れるだけでなく、急激な温度差で心臓に負担がかかります。
水風呂に入る際は、勢いよく飛び込んだりバシャバシャしたりせず、静かにゆっくりと足から入り、徐々に体を沈めていきましょう。呼吸を整えながら静かに入るのがポイントです。
初心者は腰まで浸かったら数秒止まり、心臓の様子を確認してから肩まで浸かると良いでしょう。心臓病や高血圧の方は水風呂で血圧が急上昇するリスクがあるため、無理せずぬるめのシャワーでクールダウンする方法も検討してください。
極端な満腹時や空腹時は利用を避ける
サウナは極端な満腹時や空腹時の利用は避けるべきです。
食後すぐにサウナに入ると、消化のために胃腸に集中していた血液が全身に分散され、消化不良や気分の悪化を招きます。食事後は1〜2時間程度の間隔を空けるのが理想的です。
一方、極端な空腹状態でのサウナも危険です。サウナではエネルギーを消費するため、何も食べていないと低血糖になりめまいや倦怠感を引き起こす可能性があります。空腹を感じる場合は、バナナやヨーグルトなど消化の良い軽食を摂ってから入るとよいでしょう。
サウナに最適なのは「腹八分目〜少し空腹」の状態です。サウナ後の食事(サ飯)は味覚が鋭くなり特においしく感じられるため、サウナ後30分程度経ってから食事を楽しむのがおすすめです。
初心者の人は少なめのセット数から始める
サウナ初心者は無理なセット数を目指さず、まずは1〜2セットから始めるのが賢明です。ベテランサウナーは4〜5セット入ることもありますが、初めは1セット(サウナ→水風呂→休憩)を丁寧に行い、体調を確認しましょう。
サウナ室の滞在時間も6〜8分程度から始め、「汗が出てきたら十分」という意識でOKです。水風呂も最初は数十秒ほど浸かるだけでも効果があります。
サウナは継続するうちに体が慣れてきて耐性がつくものです。つい頑張りすぎて気分が悪くなると、サウナ嫌いになりかねません。自分の体調と相談しながら、少しずつ時間や回数を増やしていくのが理想的です。量より質を重視し、安全第一で楽しみましょう。
サウナに関するよくある質問
サウナ発祥の地は日本ですか?
サウナの発祥地はフィンランドです。約2000〜6000年前、厳しい寒さと労働の疲れを癒すために北欧フィンランドで生まれました。当初は地面に穴を掘り、熱した石に水をかける「土のサウナ」や、テント式のものが使われていました。
日本にも古くから「石風呂」「かま風呂」など蒸気浴の文化はありましたが、これらは現代のサウナとは別起源です。日本に現代的なサウナが導入されたのは1957年、東京銀座の「東京温泉」が最初とされています。
フィンランドではサウナは生活に欠かせない文化として今も大切にされており、「サウナ」という言葉自体もフィンランド語です。
サウナで整うと危ないって本当?
サウナで「ととのう」こと自体は危険ではありませんが、無理に追求すると健康リスクが高まります。急激な温度変化はヒートショック状態を引き起こし、脳梗塞や心筋梗塞のリスクを高める可能性があります。
特に高齢者や心臓疾患のある方は注意が必要です。また、脱水状態や低血糖状態でのサウナ利用も危険です。「あまみ」と呼ばれる赤いまだら模様を過度に求めると血管炎になるケースもあります。
安全にサウナを楽しむには、水分補給を徹底し、シャワーで体を慣らしてから入浴し、無理なく短時間から始めることが大切です。飲酒時や体調不良時は避け、自分のペースで楽しむことが重要です。
サウナで健康になることに関してエビデンスはありますか?
サウナの健康効果には複数の科学的根拠があります。フィンランドを中心とした研究では、定期的なサウナ利用による様々な健康効果が報告されています。
2015年の研究では、週4〜7回サウナを利用する人は週1回の人と比べて心血管疾患リスクが大幅に低下することが示されました。また、脳卒中発症リスクも約60%低下するという結果も出ています。
高血圧に関しては、20分間のサウナ浴が収縮期血圧を平均7mmHg低下させ、血管機能を改善させることが確認されています。メンタルヘルス面では、週に4〜7回サウナを利用する人はうつ病リスクが78%低いというデータもあります。
さらに認知症予防効果も報告されており、週に4〜7回利用する人は認知症リスクが66%低いという研究結果もあります。
サウナはうつを改善するのに役立ちますか?
完全な治療法と断言はできませんが、サウナがうつ症状の改善に役立つ可能性は指摘されています。 統計的な研究ではサウナ習慣のある人はうつ病発症率が低いという結果が出ています。
2018年のメイヨークリニックの研究では、週に4〜7回サウナ浴をする人は週1回の人よりもうつ病リスクが78%低いことが報告されています。
また2024年の小規模研究では、体温を38.5度まで上昇させるサウナセッションを受けたうつ病患者12人に有意な症状改善が見られました。
ただし、サウナはうつ病の補助的な手段であり、医療的な治療(薬物療法や心理療法)の代替にはならないことに注意が必要です。
サウナを利用することのデメリットを教えてください。
サウナには多くの健康効果がある一方で、誤った利用方法ではデメリットも存在します。
主な注意点として、脱水症状や熱中症のリスク、急激な血圧変動による心血管への負担、肌や髪の乾燥などが挙げられます。また、飲酒後や体調不良時の利用は危険であり、持病がある方は医師への相談が必要です。
正しい入り方や水分補給を怠ると、サウナ本来の効果が得られないどころか健康を損ねる恐れもあるため、無理せずマナーと体調管理を徹底することが大切です。
サウナを利用すると血管はボロボロになりますか?
適切にサウナを利用する限り、血管がボロボロになることはありません。むしろ、温熱刺激により血管が拡張・収縮を繰り返すことで血流が促進され、血管機能の向上が期待されます。
フィンランドの研究でも、サウナ習慣が心血管疾患のリスク低下に寄与することが報告されています。
ただし、極端な温冷交代や水分不足は血管に負担をかけるため、体調に合わせた利用とこまめな水分補給が重要です。
まとめ
サウナは正しく利用すれば、血行促進、疲労回復、ストレス解消、美肌効果など多くの健康効果をもたらします。しかし、その効果を最大限に得るには適切なマナーと自己管理が不可欠です。
特に重要なのは、十分な水分補給を行うこと、体調や体力に合わせて無理をしないこと、そして周囲への配慮を忘れないことです。これらを守れば、サウナは心身を整える素晴らしい習慣となります。
ドライサウナ、スチームサウナ、ロウリュ、塩サウナなど様々な種類があるので、自分に合ったスタイルを見つけるのも楽しみの一つです。初心者は身近な施設から始め、慣れてきたら様々なサウナを試してみましょう。
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